Vol. 3
 
第3話 懐かしい汽車に揺られて
 
 鉄道写真の撮影を続けていると、鉄道に係わることは多くても、意外と列車に乗る機会は少ないものです。めずらしく客車に乗る機会に恵まれて気分は盛り上がります。場所は大井川鐵道、季節はようやく梅の花もほころんだ2月のことでした。
 整備を終えた蒸気機関車に引かれた客車がホームに滑り込んで来ました。デッキのドアを手で開けて、がらがら引く扉をくぐって車内に入ります。客車のにおいといい、音といい、懐かしさであふれているような気がしてきます。かつて車もなく、客車に乗って各地を旅して撮影していた頃を思い出させてくれました。
 車内は蒸気機関車から引かれた蒸気で暖房されています。温度が上がることは同じなのでしょうが、電気の暖房に比べて、蒸気の暖房は包み込まれるような暖かさを感じます。ふわ〜っとした暖かさの中、ついついカメラを膝にうたた寝を決め込んだ日のことでした。
 

 
 急行の札の付いた客車、車両の部分部分からも懐かしさがにじみ出ています
千頭駅
 

 
 機関車の蒸気を客車に送る暖房は、不思議と包み込むような暖かさがあります。
ついつい、夢の中へうとうとと・・
 

 
 駅の発車では機関車のドレーンが白くたなびきます
窓の外にも白い雲が見えるようです

 

 
 折り返しの千頭駅でしばらく停車の後、帰りの準備が整いました
新金谷駅
 

 
逆向きに付けられた機関車は、元来た道をいつものように帰って行きました